アメリカ人夫の浮気にどう対処すればいい?

アメリカ人の夫と結婚し、現在アメリカ在住の日本人妻が夫の浮気に気づいてしまったらどうすればよいのでしょうか。アメリカでも浮気相手や夫に慰謝料を請求したり、離婚して親権を得ることはできるのでしょうか。

アメリカ人にとっての浮気とは?

アメリカは世界有数の離婚大国で、結婚した夫婦2組のうち1組が離婚するという統計があります(2015年現在)。日本では片親家庭に対する偏見の目がまだまだ残っているのが現実ですが、アメリカでは家族の形が日本よりはるかに多様で離婚家庭はまったくめずらしくないため、離婚への精神的ハードルが低いともいえるでしょう。

日本人女性は献身的な面が強いので、浮気した夫と別れたいけれど子供のためを考えて我慢するという選択肢は決して珍しくありませんね。一方アメリカでは自分の人生を第一に考える傾向が強く、崩壊した家庭を必死に守る意味はないという価値観があります。妻が夫の浮気を耐え忍ぶことは決して美徳とはみなされません。夫婦どちらかの気持ちが離れてしまったら、すっぱり離婚してお互いが自分にとってベストな道を進むべきだと考えるのです。

また、アメリカでは専業主婦は少数派です。日本では夫が稼ぎ妻が家庭を守るという役割分担意識は今なお健在ですが、アメリカでは女性も職業を持って自立すべきだという考えが一般的です。女性が離婚をためらう最大の理由は経済的な不安だといえますが、アメリカでは離婚しても生きていけるという自信があるため離婚に踏み切りやすいのでしょう。

慰謝料請求はできない

日本の法律では、不倫は配偶者と浮気相手による共同不法行為となります。不倫という不法行為によって被った精神的損害に対する賠償として、配偶者と浮気相手の双方に慰謝料を請求することができます。また、夫婦どちらかが離婚を拒否しており話し合いによる離婚(協議離婚)が成立しなかった場合は調停となり、調停が成立しなかったら離婚裁判を起こすことになります。離婚裁判を起こす際には、「不貞な行為」や「悪意の遺棄」など民法770条に定める離婚事由のいずれかが必要になります。

しかしアメリカではまったく事情が異なります。アメリカではすべての州でNo-fault Divorce(無過失離婚)が認められています。無過失離婚とは、配偶者に過失(浮気やDVなど)がなくても離婚請求できるという制度です。無過失離婚では慰謝料は発生しません。相手に過失があった場合には、養育費や扶養費の額で補償をさせるという形になります。扶養費とは、収入の多いほうが少ないほうを一定期間(基本的に婚姻期間の半分の期間)経済的にサポートしなければならないというものです。日本では夫(男性)が妻(女性)の面倒を見るという価値観が一般的ですが、アメリカでは男女平等が大前提です。男性が女性をサポートするのではなく、あくまで経済力があるほうがないほうをサポートするという形になります。

また、アメリカでの離婚では婚姻期間も重要です。婚姻期間が10年に達していれば、夫婦の共有財産の半分を受け取ることができます。日本のような慰謝料の制度はなくても、アメリカではまた別の形で弱い立場の人をサポートする仕組みができているのです。

浮気相手にも慰謝料請求はできない

アメリカでは婚姻は夫婦間の契約とみなされています。浮気相手は契約の当事者でないため、いかなる権利も義務も発生しません。アメリカでは浮気相手に慰謝料請求しても認められないので注意が必要です。

離婚したら子供はどうなる?

離婚が多いアメリカでは、親の離婚によって子供がダメージを受けないよう養育費の算定ガイドラインがしっかりと定められています。日本ではせっかく養育費の取り決めをしてもきちんと払われないケースが多く、強制的に取り立てる仕組みも不十分ですが、アメリカでは養育費の未払いがある場合には給与天引きが可能ですし、失業給付からも徴収することができます。高額滞納者に対しては、運転免許の停止やクレジット会社への連絡、収監などの措置がとられます。養育費の確保に関しては日本よりはるかに仕組みが整っていると言えるでしょう。

日本の民法では「父母が協議上の離婚をするときには、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない」と規定されています(819条第1項)。しかしアメリカでは離婚後も両親が親権を持つ共同親権が基本です。アメリカ人と日本人の国際離婚の際に問題になるのが、日本人の母親が子供を連れて勝手に帰国してしまうケースです。国際離婚によって子供が不利益を受けるのを防ぐために作成された「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」を日本が締結していないために、離婚前後の子連れ帰国は連れ去りに問われるおそれがあるのです。

アメリカでの離婚手続きについてきちんと知っておかないと、不本意な形での離婚を受け入れざるを得ない状況に陥ることもあります。アメリカ人夫との離婚を考えるなら、まずは国際離婚を専門に扱っている法律事務所に相談してみることをおすすめします。

日本的な価値観は通用しない

アメリカでは夫や浮気相手に慰謝料請求しても認められません。単独親権制の日本と異なり、アメリカでは共同親権が基本です。子供を連れて勝手に帰国したりすると、連れ去りに問われるおそれがあるので注意が必要です。