女と借金の二重地獄

夫が浮気相手に貢いでいたことが発覚しました。その額は合計100万円~300万円にものぼります。しかも夫は消費者金融からお金を借りていました。夫に別れたいと伝えても、離婚届に判を押そうとしません。夫が浮気相手に貢いだお金を取り返すことはできるのでしょうか。また、離婚する場合は財産分与によって夫の借金も背負わなくてはいけないのでしょうか。

お金はあげたのか? 貸したのか?

お金夫が浮気相手にどのような名目でお金を渡していたのかが一つのポイントになります。借用書などがあれば、相手女性にも借金の自覚があるといえます。「貸したお金を返してくれ」と相手女性に返還請求することは可能ですが、請求できるのはあなたではなく貸した本人である夫だということに注意してください。

借用を示すような証拠が一切ない場合には、お金はあげたもの、つまり贈与とみなされます。この場合、相手には返還義務は生じません。一度あげたものは取り返せないということです。

愛人契約は無効

夫が肉体関係の対価という形で相手にお金を渡していたとしましょう。いわゆる愛人契約ですね。こうした契約は公序良俗違反、つまり不法なものです。民法708条では「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない(不法原因給付)」と定められています。つまり、不法な愛人契約のために払ったお金をあとになって返してくれとは請求できないということです。

相手女性がお涙ちょうだいの作り話をして夫をだまし、肉体関係と引き替えにお金を巻き上げていた場合はどうでしょうか。女性が最初から夫をだます意図を持っていたのであれば、刑法の詐欺罪にあたる可能性はあります。

慰藉料という形でお金を取り戻せる可能性も

貢ぐ100万円~300万円という大金を渡していた以上、夫とその女性の間には肉体関係があったことはほぼ確実とみてよいでしょう。浮気は法律の上では不法行為となるので、あなたは相手女性や夫に対し慰謝料請求をすることができます。慰謝料の金額は浮気の悪質性や期間、年齢、収入などの要素を考慮して決められますが、浮気が原因で離婚となった場合は100万円~300万円、離婚には至らなかった場合は50万円~100万円程度が相場といわれています。離婚する場合、浮気相手と夫の双方に慰謝料を請求すれば、夫が貢いだお金と同等の額を手に入れられる可能性はあります。

また、浮気(不貞な行為)は民法で定められた法定離婚事由の一つです。夫がどうしても離婚に応じない場合、あなたは家庭裁判所に離婚の訴えを提起することができます。裁判であなたの主張が認められるためには浮気の事実を証明できる証拠が必要です。夫と浮気相手のメッセージのやり取りのほか、プレゼントやデートなどに使ったと思われるレシートや領収書、クレジットカードの利用明細、消費者金融の契約書などを探し、撮影して証拠保全しておきましょう。

夫が作った借金を払わされるの?

カード

中にはキャッシングをしてお金を借りてまで浮気相手に貢いでいたなんてケースもあります。キャバ嬢や風俗嬢との浮気に発展した場合なんかがわかりやすいと思います。

結婚期間中に夫婦が協働して得た財産を離婚時に原則2分の1ずつ分けられる財産分与という制度があります。財産分与ではプラスの財産だけでなくマイナスの財産、つまり借金も対象になりますが、対象となるマイナスの財産とは住宅ローンや教育ローン、生活費にあてるための借金など結婚生活の中で通常必要となってくる費用(日常家事債務)を指します。夫の個人的な遊興費などは対象となりません。ただし、あなたが夫の借金の保証人になった場合は、妻としてではなく保証人としての返済義務が生じるので注意してください。

夫の尻ぬぐいまでする必要はない

借金

離婚時の財産分与では借金も対象になりますが、夫が個人的な遊興費等としてつくった借金は対象とはならないので離婚する場合はあなたが夫の借金を肩代わりする必要はありません。

また、夫と相手女性の間にお金の借用書などがあれば、渡したお金を返済するよう要求できる可能性はあります。しかし、贈与とみなされる場合には返還請求できません。愛人契約など肉体関係の代償としてお金を払っていた場合も不法原因給付として返還請求ができません。

ただし、夫と浮気相手の双方に浮気をした慰謝料を請求することは可能です。夫の貢いだお金を返してもらうことはできなくても、慰謝料という形で夫が貢いだ分のいくらかを返してもらうこともできます。浮気相手から慰謝料として夫が使いこんだお金を返してもらうためにはしっかりと浮気の証拠を抑えてから動き出すようにしましょう!